夏フェス

今週末、「SUMMER SONIC 2017」が開催される。

今年の夏も、いろいろな所で、いろいろな夏フェスが開催されている。

新潟県に住んでいることもあって、フジロックには、毎回行きたいなと思っているのだが、フジロックが行われる7月最終週の週末は、会社の取引先のおもてなし行事と重なってしまうのだ。

だから私がフジロックに行くには、会社のおもてなし行事をずらすか、フジロックにずれてもらうかしかない。

フジロックもサマソニみたいにずれてもらうことを祈るばかりだ。

 

そんな私が唯一行ったことがある夏フェスは「SUMMER SONIC 2003」。

Radioheadがヘッドライナーとして登場し、最後に封印していたCreepを歌った時だ。

「サマソニ 伝説」とググれば、その時のことが書かれているサイトがたくさん出てくる。

 

当時、一番好きだったバンドがRadioheadで、それまでに出したアルバムは全部持っていた。

彼らが世に出るきっかけとなった曲がCreepなのだが、その曲があまりにも偉大過ぎて、ファン、レコード会社など、まわりの人達は、ライブではCreepを演奏することを求め、

Creepのような新曲をリリースすることを求めた。(ちなみに椎名林檎が一番好きな曲はCreep(Wiki情報))

そんな状況に嫌気が差し、彼らはCreepとは距離を置くようになり、人前では一切演奏することがなくなった。

その後、Creepが収録されたデビューアルバム「Pablo Honey」とは曲調の異なるアルバム「The Bends」、「OK Computer」がリリースされ、それらが世界的な評価を受けるに至って、誰もがもう2度とCreepを演奏することはないと思っていた。

私もそう思っていた。

 

サマソニのライブを見ていて、特定のアルバムに偏ることなく、名曲を演奏してくれたのでとても満足していた。

「これでCreepをやってくれたら完璧なんだけどな」と思ったけど、彼らの母国イギリスや、ロックの本場アメリカでも一切演奏してこなかったのだから仕方がない。そう思っていた。

アンコールの最後の曲が終わり、トム・ヨークが挨拶をしてステージ袖へ歩き始めた時、Creepのイントロが流れた。

「まさか」

私は驚きと興奮で訳がわからなくなっていた。

Creepを聞きながら、たぶん一生忘れないだろうなと思った。

 

サマソニが10周年を迎えた時、テレビで「あなたがサマソニで一番心に残るパフォーマンスは?」と言うランキングをやったことがある。

出演者に、「すぽると!」のキャスターをやっていた洋楽マニアの高樹千佳子さんや、サマソニを主催するクリエイティブマンの清水直樹代表らがいた。

ランキングの発表が始まる前から、高樹さんは「絶対1位はあれですよね?」と言い、清水代表も「おそらくあれでしょう。」と言っていた。

私も一人テレビの前で「だよねー、千佳ちゃん。」とか「当たり前だ、清水。」とかブツブツ言いながら見ていた。

ランキングが進んで行き、第3位がColdplay、第2位がOasisときて、残すは第1位のみとなった。

高樹さんが「やっぱり、あれだー。」と言い、清水代表が「間違いないですね。」と言う中、画面に映し出されたのは、Radioheadのトム・ヨークがCreepを歌っている場面だった。

映像を見ながら「やばい、泣きそう」と高樹さんが言った。テレビの前で私は既に泣いていた。

「Creepを観客みんなで大合唱したのは本当に感動しました。」と千佳ちゃん。

Radioheadが好きで、2003年のサマソニで同じ場所にいて、一緒にCreepを歌って、同年代なので、親近感を持ってしまう。

「サマソニを立ち上げた時から、いつかはRadioheadにヘッドライナーを努めてもらいたいと思っていました。」と清水代表。

 

今年も夏フェスに行くことができず、行った人が羨ましいと思う半面、私は2003年のサマソニに行ったんだという優越感がある。

あの時以上に感動するライブは、もうないと思う。